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【ズームアップ】巣ごもり消費見込み宅配関連が上昇=上場物流企業の株式時価総額

2020.04.23

新型コロナウイルスの感染拡大を背景に株価が大きく変動する中、物流業界の株式時価総額もその勢力図が変化しつつある。上場物流企業を対象に、今年2月末と4月15日の終値時点の株価時価総額を比較すると、伸長したのは内需型の物流企業が多く、とくに宅配や、日用雑貨・食品の3PL事業を展開する会社が注目を集めた。

中でも2月末比で62・0%増と大きく時価総額を伸ばしたのが、丸和運輸機関。新型コロナウイルスの感染拡大で需要増が見込まれる米大手通販会社のEC宅配を手掛けるほか、生協事業なども展開。外出自粛や外食店舗の休業で家庭内需要が増える中、食品スーパーマーケット事業を柱のひとつに据えることも市場からの期待を集めたと見られる。

デリバリー事業を中核とするSGホールディングスとヤマトホールディングスは、昨夏から時価総額が少しずつ減少し、2月末には約7000億円台まで落ち込んだものの、3月中旬以降は株価が上昇。SGHが36・6%増、ヤマトホールディングスも16・5%増と伸長した。緊急事態宣言の発令を受けた “巣ごもり消費”から通販購入が増え、宅配需要も高まる――との憶測が広がったようだ。
小口貨物をはじめとする国内輸送が中心の福山通運も、昨年来、運輸・倉庫株の中でも安定的な株価を維持し、コロナショック以降も時価総額を増やした。路線便最大手のセイノーホールディングスも2・8%増加した。

SBSホールディングスは、米大手通販会社向けの宅配事業を拡大しているほか、首都圏を中心とした食品スーパーマーケット物流や生協宅配、食品メーカー物流などが主力事業となっており、時価総額も10・1%上昇。センコーグループホールディングスも流通ロジスティクス事業でGMS(総合スーパー)やホームセンター、ドラッグストア、ディスカウントストアなどの小売・量販店物流や医薬品、食品メーカーなどの安定貨物を扱い、時価総額は4・2%増えた。

引越業界はコロナウイルス感染拡大によるマイナス影響が懸念されるが、サカイ引越センターは時価総額を6・2%上昇。今月3日に2020年3月度の月次売上高速報値が発表され、売上高は通期で4・9%増、作業件数は4・6%増となり、期初予想を上振れた。

一方、新型コロナウイルスの影響で世界経済が大きく減速すると予想される中、国際物流事業者の時価総額は減少している。中国を含むアジアや北米地域などへ積極的に事業進出している企業では、2月末時点の株価は好調もしくは横ばいに推移していたが、コロナウイルスの感染拡大が深刻化するのに伴い3月中旬以降いずれも大きく下落し、持ち直しつつはあるが、2月末時点の数値には戻っていない。
(2020年4月23日号)


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