【話題】海外事業でも統合シナジーを発揮=SBSリコーロジ
SBSリコーロジスティクス(本社・東京都墨田区、若松勝久社長)は海外事業におけるSBSグループとの連携をさらに強めることで、外部荷主である“一般顧客”の受託を拡大する。海外営業本部本部長兼米州極事業部事業部長 兼RLC‐USA社長の丸山貢司執行役員は「これまで通りリコーの物流は継続・貢献しつつ、SBSグループ内の機能を融合してリコーと一般顧客の双方へのメリットを高め、海外事業を成長させることが我々のミッション。一般顧客の伸長率として前年比150%を目指していきたい」と意欲を示す。
リコーロジは海上と現地物流SBSGは航空とアジアに強み
SBSリコーロジは長年、リコーグループの物流子会社として、主にリコーの日本国内および海外事業の物流を担ってきた。海外事業売上高の約9割をリコーグループ向けが占めるほか、海外現地法人もリコーの生産工場や販売会社の進出に合わせて拠点を設置。中国の上海、深圳および香港、米国カリフォルニア州、そして欧州はオランダ――と3極に5拠点を構え、調達から販売に至るまでの輸出入や国際輸送に加え、現地の倉庫保管や陸送サービスを展開してきた。
一般顧客向けは、主にリコーグループのサプライヤーから提案を広げる形で拡大。リコーグループの輸送ボリュームを生かした海上運賃の交渉力と、精密機器・危険物など専門性の高い貨物を安全に運ぶ品質、そしてリコー業務でノウハウを培った海外現地物流が強みで、年間取扱貨物量は約2万6000FEUに上る。とりわけ、中国では既存の販売物流網を活かした事業展開を見越して、自社車両の運行も行っている。
一方のSBSグループは、2010年に日本発着の輸出入通関や国際輸送事業を展開するエイシーシステムコーポレイション(現SBSグローバルネットワーク)を子会社化。同社では航空便の取り扱いを得意とし、日本の主要4空港(成田、羽田、関空、中部)に営業所を構えている。また、グループとして11年にはインドの国際物流会社Atlas Logisticsを買収し、同社が持つタイ、シンガポール、マレーシア、インド、ベトナム、香港の現地法人を傘下に加えている。
SBSGの既存顧客へ海外現地物流を提案
18年8月にSBSリコーロジがSBSグループ入りした後は、海外現地法人の運用を、順次、SBSリコーロジへ移管する計画にある。これにより、SBSリコーロジの海外物流ノウハウをアジアの現地法人へ展開し、リコーグループのみならず一般顧客の現地物流ニーズを取り込むことが狙い。とくに、SBSグループ各社が国内で物流業務を請けていたり、国際輸送や通関業務のみを受託している荷主企業に対し、“日本品質の”海外物流を提供。「国内外で同じサービスレベルの3PLを求める荷主企業は多く、当社であればギャップなく対応できる」と丸山氏は自信を示す。
すでに、タイでは日本で3PLを受託する荷主企業から、SBSリコーロジの海上輸送とLT(Logistics Technology)を生かした現地倉庫業務を受託。北米でも内陸へのドアデリバリー案件が新たにスタートするという。SBSリコーロジでは海上運賃にも競争力を持つが、逆に、SBSグローバルネットワークも航空輸送や通関で豊富な実績と交渉力を備えており「当社の既存荷主企業に対しても、グループ内連携によるメリットを提供できる」という。
さらに、長期的な海外ネットワーク構想としては、米国における消費市場の中心である東海岸地域への進出も視野に入れ、「一般顧客の取り込み状況に応じて、必要なエリアへサービスとネットワークを拡充させたい」と丸山氏は話す。
SCMを継続的に改善し、リコーGには引き続き貢献
リコーグループ向けの業務については、SBSリコーロジがSBSグループ入りした後も大きな変更はない。リコーグループではこの4月に、グローバル集約生産を目的として中国深圳の2工場を統合した新工場を広東省東莞市で稼働予定。同工場の物流業務も、SBSリコーロジがそのまま継続する。入札案件なども、リコーとリコー海外拠点、SBSリコーロジの3者が条件や要求事項を共有しながら、船会社やフォワーダーとの交渉に当たる。丸山氏は、「リコーは最大の荷主。リコーのニーズに合わせた物流を提案し、継続したSCM連携を図っていく」と展望する。
SBSリコーロジでは今後も、リコーおよびリコー海外拠点のニーズを反映し、ハイキューブコンテナの利用やコンテナラウンドユースの推進といった、より高度な物流の見直しを進め、リコーの文化である“KAIZEN”を続けていく。「SBSグループ入りしたことでアプローチの幅も広がった。これまでのノウハウとネットワークを使いながら、荷主企業の物流における点と線をつなぐ、一貫物流を展開していく」(同)方針にある。
(2020年3月12日号)