国交省が〝標準的運賃〟の原案を公表
改正貨物自動車運送事業法の柱のひとつである「標準的な運賃の告示制度」の原案が明らかになった。国土交通省が2月26日に運輸審議会に諮問したもので、運輸局ごとに貸切トラックの「距離制運賃表」と「時間制運賃表」の2種類を運賃表(タリフ)の形式で提示した。今後の審議にあたっては多様な意見を聴取するため、4月2日に公聴会を開催し、業界関係者や学識経験者などの公述人が意見を述べる。
距離制・時間制のタリフとして車種別に設定
距離制運賃では小型車(2tクラス)・中型車(4tクラス)・大型車(10tクラス)・トレーラ(22tクラス)の車種別に、10㎞から200㎞まで10㎞刻みとした。200㎞を超えて500㎞までは20㎞を増すごとに加算する金額を定め、同様に500㎞を超える場合も50㎞を増すごとに加算する金額を設定した。
時間制運賃では、算定の基礎となる時間を「8時間制」と「4時間制」に大別し、車種別で8時間制の基礎走行キロは小型車で100㎞、小型車以外では130㎞とした。また、4時間制では小型車50㎞、小型車以外は60㎞とした。基礎走行キロを超える場合は10㎞を増すごとに一定の加算額を定めた。
また、基礎となる「8時間」あるいは「4時間」を超える場合、1時間を増すごとに加算額を設定。4時間制の場合で、午前から午後にわたる運行では、正午から起算した時間により加算額を計算する。
「平成11年タリフ」の上限運賃より1割以上のアップに
関東運輸局が定める標準的運賃によると、大型車が500㎞運行した場合、200㎞までの運賃7万4880円に加え、300㎞分の加算金額8万550円を合計し、15万5430円となる。東京~大阪間(550㎞)で大型車が運行した場合は、500㎞を超える場合の加算金額1万3430円(50㎞)が加わり、合計運賃は16万8860円となる。
今回提示された標準的運賃と平成11年タリフとの比較では、10t車で500㎞の場合、標準的運賃は15万5430円となり、平成11年タリフの上限運賃に対し、1万9510円増(14
・4%増)。また、下限運賃に対しては6万4710円増(71・3%増)となる。
550㎞の場合は、標準的運賃は16万8860円となり、平成11年タリフの上限運賃に対して2万2840円増(15・6%増)、下限運賃に対しては7万1400円増(73・3%増)となる。
いずれも単純比較だが、標準的な運賃は平成11年タリフの上限運賃と比べると、上限運賃に対しては1割超のアップとなり、下限運賃に対しては7割以上の上昇になると試算される。
冷凍・冷蔵車、日祝日、深夜早朝は「2割増し」
運賃に加え、「割増し」や「別途料金」についても規定した。
冷蔵・冷凍車など特殊車両については2割増しと定めた。休日運行では日曜祝祭日に運送した距離に限り2割増し、また、深夜・早朝割増として午後10時から午前5時までに運送した距離について2割増しとした。
待機時間料は30分を超えて待機する場合に徴収するもので、以降は30分刻みで加算する。基本料金は、小型車が1670円、中型車が1750円、大型車が1870円、トレーラが2220円とした。そのほか、積込料、取卸料、附帯業務料についても規定したほか、高速道路やフェリーの利用で費用が発生した場合は運賃とは別に実費として収受するよう明記。燃料サーチャージについても別に定める。
(2020年3月3日号)