荷動きはプラスだが一服感も=日通総研短観
日通総合研究所(本社・東京都港区、青山陽一社長)が7月27日に発表した「企業物流短期動向調査(日通総研短観)」6月調査によると、4~6月実績の国内向け出荷量「荷動き指数」は前期(1~3月)実績の「10」から7ポイント低下し「3」となった。前々期の17年10~12月「13」より10ポイント低下した。指数はプラスを維持しているため、悪化してはいないものの、荷動きには一服感もあるようだ。
日通総研の佐藤信洋プリンシパルコンサルタントは「荷動き指数は17年7~9月期以降、4期連続してプラスで推移している。4~6月期が低下したのは、景気の“踊り場”入りを反映したものだと思われる」と説明した。
また、7~9月期は「10」と見込んでいるが、「今回の調査は6月初旬に実施したもので、7月に発生した西日本豪雨の影響が反映されていない。個人的な見解だが、次回9月の調査結果では7~9月実績値は下振れる可能性もある」と指摘した。
業種別の荷動き指数をみると4~6月実績は10業種がプラスとなり、金属製品、繊維・衣服、窯業・土石、精密機械、生産財卸、消費財卸の6業種が前期よりも改善し、パルプ・紙が横ばい、食料品・飲料、鉄鋼・非鉄、電気機械、その他の製造業など8業種が低下する見込み。
7~9月の見通しでは12業種がプラスで、食料品・飲料、窯業・土石、輸送用機械、その他の製造業など10業種が改善、繊維・衣服が横ばい、木材・家具、鉄鋼・非鉄、金属製品、消費財卸などが低下すると予測した。
鉄道コンテナは集配料金がネックに?
国内輸送機関の利用動向をみると、4~6月実績では、一般トラックが「5」、特積みトラックが「2」、内航コンテナ・RORO船が「1」と3機関がプラス、宅配便がゼロ水準、鉄道コンテナが「△5」、国内航空が「△6」。7~9月見通しでは一般トラックが「12」、特積みトラックが「5」と上昇し、宅配便は2ポイント上昇の「2」、内航コンテナ・RORO船は2ポイント上昇の「3」の見込みでトラック需要は依然として旺盛だ。一方、鉄道コンテナの7~9月見通しは1ポイント上昇とはいえ「△4」と水面下のままで、利用意欲が伸び悩んでいる様子。佐藤氏は「昨年11月に改正標準貨物自動車運送約款が施行されたことに伴い、コンテナ集配料金が足元では値上がり傾向にあることに対して、荷主が意識的になっているのかもしれない」と説明した。
トラック運賃の上昇圧力はさらに強まる
運賃・料金の動向をみると、トラックの上昇基調が顕著となっている。4~6月実績は一般トラックが前期(1~3月)より16ポイント上昇の「40」、特積みトラックが14ポイント上昇の「38」と高水準にある。7~9月見通しは一般トラックが「42」、特積みが「40」とさらに上昇。ドライバー不足をはじめ、堅調な荷動きや燃油価格の高騰などを背景に上昇圧力が一段と強まる見通しだ。佐藤氏は「西日本豪雨で山陽線がストップしているため、トラック運賃は予想以上に上昇する可能性もある」と指摘した。
物流コストも上昇が見込まれている。売上高に対する物流コストの占める割合の動向指数をみると、1~3月実績の「22」から4~6月実績は15ポイント上昇の「37」、7~9月見通しはさらに4ポイント上昇して「41」となった。物流コスト割合の増加を予想した荷主の物流担当者は、1~3月では28%だったが、4~6月では42%に増加、7~9月はさらに3ポイント上昇して45%にまで増えており、半数近くの荷主がコスト増を見込んでいるようだ。
(2018年8月2日号)