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荷主対策の深度化がスタート=国交省・奥田自動車局長

2019.07.02

国土交通省自動車局の奥田哲也局長(写真)は6月26日、定例会見を行い、改正貨物自動車運送事業法の柱のひとつである荷主対策の深度化を7月1日より施行すると報告した。また、ドライバー志望者が就職先を選ぶ際や荷主が取引先を選ぶ際に参考できる運送事業者の労働条件や職場環境を評価する認証制度の概要について説明。同制度は当初、ホワイト経営認証の仮称で制度設計が検討されていたもので、今月から認証事業を実施する民間団体を公募し、8月に団体を選定する。制度の愛称や認証マークは実施団体の決定後に定める。

「働きかけ」で違反原因行為の抑止へ

奥田局長は荷主対策の深度化について「トラック運送事業者が法令を遵守して事業を遂行できるよう荷主が必要な配慮をしなければならないとする責務規定を新設した。また、荷主が、トラック運送事業者の法令違反の原因となるおそれのある行為(違反原因行為)をしている疑いのある場合、荷主を所管する官庁と連携し、国土交通大臣による『働きかけ』などの規定を新たに設けた」と説明。「違反原因行為の具体例には荷待ち時間の恒常的な発生や非合理な到着時刻の設定、過積載となるような依頼などが含まれる。事業者のコンプライアンス確保には荷主の配慮が重要だと理解を求めていく」と強調した。加えて、「新制度では、違反原因行為をしていることを疑うに足りる相当な理由がある場合、『要請』や『勧告・公表』を行うこととし、荷主に対して『勧告』を行った場合、その旨を公表することが法律に明記された。また、軽貨物の事業者も荷主勧告制度の対象に含めることにした。荷主の行為が独占禁止法違反の疑いがある場合、公正取引委員会に通知する」と新制度の要点を解説。その上で「新たな制度により荷主に配慮を求めることで、より一層のコンプライアンス確保が得られると期待している」と述べた。

「職場環境良好度」認証は8月に実施団体を選定

労働条件の改善や職場環境の整備など優れた経営(ホワイト経営)を行う事業者を認証する制度は秋頃に運用開始の予定。

奥田局長は「名称は『運転者職場環境良好度認証制度』とし、6月25日に認証事業の実施団体の公募を開始した。8月に実施団体を選定した後、制度の愛称や認証マークを定める。マークは認証取得企業が車両や求人票などに表示できる。求職者が適切な情報を得やすくなることで、入職状況の改善につなげたい」と制度の意図を解説。認証項目の達成度合いにより、一つ星、二つ星、三つ星の3段階で認証する。トラックでは、一つ星は必須項目数22、加点項目数61、基準点数53点以上、二つ星は必須24、加点59、基準点数76点、三つ星は必須32、加点51、基準点数53点以上が必要。認証基準項目の成績ごとに一つ星は業界上位の50%、二つ星は上位25%、三ツ星は上位12・5%が取得できるように設定した。当面は申請しやすくするため、認証基準の必須項目と加点項目について、検討段階よりも緩やかにしている。奥田局長は「今後は労働環境などの向上を見越し、数年後に必須項目を増やし、加点項目の基準点の引上げなど定期的に制度の見直しを行う。また、書類作成や費用の軽減を工夫し、中小の事業者でも申請しやすくする」と述べ、多数の事業者による申請に期待感を示した。
(2019年7月2日号)


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