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バンテック 代表取締役社長  山田 敏晴氏

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2009年6月2日3802号
バンテック 代表取締役社長  山田 敏晴氏 インタビュー

「ロジスティクスとフォワーディングを融合したハイブリッドなサービスを」
「今期90億円のコスト対策で増益へ転換。構造改革で企業体力を強化」

今年4月、持株会社バンテック・グループ・ホールディングスとバンテック(以下、旧VTC)バンテックワールドトランスポート(以下、旧VWT)の中核3社が統合して「新生バンテック」が誕生した。株式上場という当初の目的を達成し、次なるステップとしてグループ各社の能力を融合させることで「グローバルSCMサービスプロバイダー」としての地位確立を目指す。折からの世界同時不況が自動車部品物流と航空フォワーディングという同社の2本柱を直撃する中、大胆なコスト対策を打ち出すことで難局を乗り切ろうとしている。 新体制のスタートと同時にトップに就任した山田敏晴社長に、今後の経営の舵取りについて聞いた。 (聞き手・西村旦記者)

――前期の業績を振り替えると

山田 ひとことで総括すれば「上期は天国、下期は地獄」に尽きる。40年以上、ビジネスの世界にいるが、これほどまでの急激な変化は初めての体験だ。昨年11月を境にして、経営の軸足を置いている自動車とフォワーディングの両部門で落ち込みが同時にきてしまった。当社の場合、前期の減収減益率を見ると、完全な製造業型。売上げの60%を自動車産業に依存しているため、その影響が直撃した。

――年明け以降、合理化に着手したが

山田 上期は月次予算を上回っており、下期に入ってからも11月まではハイレベルで推移していた。荷動きが急減した年明け以降、海外を含めて絞れるところは絞るということで雇用調整に着手した。その結果、前期は非正規社員を中心に970名を削減したが、効果が出てくるまでにどうしてもタイムラグが生じる。情勢の変化があまりに急だったということもあるが、結果として、対策が後手に回ってしまった面は否定できない。

――今期は減収増益を計画している

山田 売上げは前期から200億円減収の1200億円を見込んでいる。自動車、フォワーディングの2大事業とも今期中の本格的な回復は期待できないと見ており、ウィッシュフル・シンキング(希望的な考え)はやめて固めに予想している。一方、利益面では総額90億円のコスト対策を徹底的に行うことで増益に転換させる。正規、非正規含め330名の人員削減や役員報酬のカットなどで人件費を絞り込むほか、現場の作業改善などで捻出する。1200億円のうちの90億円だから相当なマグニチュードになるが、この構造改革をやり切ることができれば今後の企業体力の強化に効く。4月に中核3社を合併したタイミングでもあり、管理部門の統合効果も見込める。
今期は営業利益、経常利益とも40億円を見込んでいるが、利益構成は上期と下期で2対8の按分になる。これは上期がボトムだった前期後半の流れを引きずってしまうことに加え、人件費などのコスト対策が効いてくるのが7月以降になるためだ。

――中核3社統合の狙いとして「ロジスティクスとフォワーディングの融合」を挙げている

山田 ひとことで言えば、いかに顧客ニーズを深掘りできるかどうかだ。荷主企業を見ていると、ロジスティクスとフォワーディングを別会社に発注しているところがいまだに多く、セグメントされたビジネスになっている。これに対し、物流会社もロジスティクス・サービス・プロバイダーといった名称で一貫サービスに乗り出しているが、真の意味で成功している事例は少ない。当社は自動車物流で培ったロジスティクスに加え、フォワーディングについても東急エアカーゴ時代からの経験やノウハウが蓄積されている。これをうまく融合させていければかなりのことができるポテンシャルがある。

――具体的な取り組みは

山田 4月1日からグローバル規模の顧客を対象に「アカウントマネージャー」を置く体制にした。彼らは担当する顧客企業のすべての情報を一元的に把握して、顧客の立場に立って国内、海外の各現場に指示を出す。当然、ロジスティクスにもフォワーディングにも精通したマルチな視点を持った人材でなければならない。いまはまだ5名程度しかいないが、今後は10名、20名に増やしていく。そのためにも旧VTCと旧VWTの人事交流が大事になってくる。人事異動を積極的に進めることで、国内、グローバル、ロジスティクス、フォワーディングの垣根を越えてトータルで見ることができるハイブリッドな人材を増やしていきたい。

――経営の足場を広げるためにも、ノンオート(非自動車)部門の拡大も課題のひとつだが

山田 ノンオートの拡大には2つのアプローチがある。ひとつは旧VTCが手掛けていた国内のロジスティクス事業としてのノンオートをどこまで拡大できるか。これについては、いま日用雑貨、飲料、食料品といった既存の顧客を中心に新しいビジネスモデルの仕掛けを考えており、ニーズを深耕していく。もうひとつは輸入貨物の国内ロジスティクスの拡大だ。旧VWTは航空輸入の取扱いが強く、フォワーダーの中でも有数の実績がある。にもかかわらず、これまでは国内の仕事に結びついていなかった。今後、輸入貨物の取扱いから国内における保管、配送までを一体的に引き受ける体制が構築できれば、大きな伸びが期待できる。

――いまオートとノンオートの売上げ構成は?

山田 大まかに言ってオートが6割、ノンオートが4割だ。ノンオートの拡大には力を入れていくが、将来的にこのバランスが逆転するかと言えば、それはないだろう。6対4の構成比のまま両部門とも拡大させていければいいと思っている。一方、国内部門と国際部門の構成はいま7対3だが、中長期的に6対4まで持っていきたい。海外事業の拡大は当面、自動車が中心になるだろう。

――オートは海外に力点を置く

山田 国内の自動車産業の回復にはもう少し時間がかかる。その分、海外で伸ばしていく必要がある。昨年、メキシコとインドに現地法人を設立して自動車部品を中心に展開しているが、さらに拡大していく。ロシアへの進出も検討しており、早ければ今年中に法人を設立することになるだろう。メキシコとインドは100%独資で進出したが、ロシアではパトーナーと組む方向で調整している。
中国を中心としたアジアも強化していく。アジア域内で流動する貨物が増えており、こうした日本を経由しない三国間輸送需要を積極的に取り込んでいきたい。

――国内では大掛かりな配車効率化のシステムも動き出す

山田 社内では「戦略輸送システム」と呼んでいる。これまで営業所など現場単位で行っていた配車業務を全社的に統合するもので、本社内に集中管理のためのコントロールセンターを置いた。車両の稼働状況をリアルタイムで把握してルート変更などを指示することで、傭車先の協力企業を含め積載率の改善が期待できる。経常損益レベルの日次決算も可能であり、コスト削減のための大きなツールになると考えている。数億円を投資しており、今年8月にも本格稼働させる。



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