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SBSホールディングス 代表取締役社長  鎌田 正彦氏

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2009年4月14日3790号
SBSホールディングス代表取締役社長  鎌田 正彦氏 インタビュー

「本業のロジスティクスに特化。3PLで戦える集団になりつつある」
「この1〜2年が勝負。『強烈な営業展開』で新規顧客の大幅獲得を」

大型M&Aを相次いで手掛け、物流業界指折りの企業に急成長を遂げたSBSホールディングス。ここ2、3年は買収をストップし、改善活動による収益体制の強化やグループ再編など内部の体制固めに着手、着実に成果をあげてきている。本業である企業間ロジスティクスにターゲットを絞り、経営資源を集中させる方針を打ち出す一方、新規開拓に特化した営業組織を編成し、物量減に苦しむ業界の?台風の眼?になりつつある。創業者ならではのリーダーシップでグループを牽引する鎌田社長に営業戦略、グループの将来像を聞いた。
(聞き手・西村旦記者)


――前期(08年12月期)決算についてどう評価している。

 鎌田 物流セグメントでは順調に利益が出ており、そう悪い決算ではない。たしかに全体で見ると減収減益だが、これは前々期やその前に不動産の証券化を中心とした金融セグメントで大幅な利益を出していた反動という面もあり、それを除くと実質的には増収増益だ。東急ロジスティック(現ティーエルロジコム)を買収して3年半が経過したが、このM&Aは成功だった。物流事業については巡航速度で進んでおり、手ごたえを感じている。

 ――昨秋からの経済危機で、物流業界も輸送量の大幅減に苦しんでいるが、足元の状況は?

 鎌田 売上げはグループ全体でならして前年同月比10%減だ。同業他社と比較すれば健闘しているほうだと思う。食品や生協関係など比較的不況の影響を受けにくい顧客が多く、輸出製造業などの比率が少ないことが結果的に寄与している。利益面でも、燃油価格が下がってきたことで相殺されており、ほぼ予算通りに推移している。現状に満足しているわけではないが、目下の経済状況を考慮すればそれなりに評価できるのではないか。

 ――そうした中、「強烈な営業展開」ということで、3月にティーエルロジコムに新規顧客の開拓に特化した「営業開発本部」を新設して、社長自らが本部長として陣頭指揮を執っている。

 鎌田 経済危機になれば、荷主もコストの見直しに動く。複数ある物流センターを集約したり、業務委託していた物流業者の変更を検討するなど、これまで動かなかった荷主も物流改革に乗り出してくる。だからこそチャンスであり、いま攻めないといけない。物流会社の営業はどうしても既存顧客の対応に時間を割かれ、新規営業は2割程度になりがちだ。そこで、新規顧客の開拓だけをターゲットにした部隊をつくった。時間との勝負でもあり、ゼロからの新規開拓については創業時からのノウハウがあるので、私自身が本部長になり、先頭に立ってやっている。

 ――具体的な営業手法は?

 鎌田 アウトバウンドのコールセンターをつくり、テレアポセールスを徹底的にやっている。日本には300万からの法人があり、相手先は無尽蔵だ。相手先企業のある部署から断られたとしても、別の部署では仕事があるかもしれない。また、当社の得意先であっても、別の部署では違う物流業者を使っているケースもある。とにかく、まずアポイントをとって営業マンが訪問する数を増やすことが大事だ。さらに、当社のあらゆるサービスメニューを紹介したパンフレットを作成して全社員にノルマを課して配布させている。今後はインターネットを利用した営業などすべての営業チャネルを駆使していく。まさに絨毯爆撃だ。

 ――成果はどうか?

 鎌田 組織をつくって1ヵ月が経ったが、アポイントも順調にとれている。テレアポセールスはやっていくうちに「何件当たれば何件のアポイントがとれ、どのくらいの成約が見込める」という一定の数式が見えてくる。それが分かれば、あとは投入する人数を増やせばいい。現在は約30名の営業マンが動いているが、近く50人、100人に増やす。とりあえず形になるまでは私が本部長として陣頭指揮を執っていく。当初、ティーエルロジコムとして今期20億円の新規顧客の獲得を見込んでいたが、感触としてはすでにその半分の10億円程度は達成できそうだ。さらに上積みを狙っていきたい。

 ――そうした「強烈な営業展開」に加え、3PLのプロの育成にも力を入れている。

 鎌田 いまコンサルタントと組んで、問題解決に向けた提案営業ができる人材の育成を進めている。今年中にプレゼンの企画書が書ける営業マンを100人に増やしていく。そうしたプロの集団ができれば、どこから球が飛んできても打ち返すことができるようになる。

 ――そこまでやっても、今期の物流セグメントの業績予想は減収を見込んでいる。

 鎌田 対前期比でトントンになれば今年は大成功。それだけ物流業界を取り巻く環境が厳しいということだ。計画ではティーエルロジコムの新規営業で20億円、先日完成した千葉の「野田物流センター」で10億円を見込んでおり、このほかフーズレックや全通の新規営業を含めグループ全体で50〜60億円の新規顧客獲得を計画している。しかし、これだけやっても既存のところで10%減となれば、トータルで5%程度の減収になる。だが、何もせずに手をこまねいていれば、確実に10%は落ちてしまう。

 ――厳しい勝負だ。

 鎌田 荷主も苦しいし、同業他社も我々も苦しい。しかし、この1〜2年をどう過ごすか、どう乗り切るかが勝負になると思う。ティーエルロジコムは東急グループの中で仕事をしてきたこともあり、現場はしっかりしている。これに改善力、営業力、システム提案力がつけば3PLの中で戦っていける企業集団になれるという手ごたえを感じている。なるべく早い時期に3PLの分野で先行している企業に追い付けるようにしたい。そのための投資をいまやっている。苦しいがいまやらなければこの先の成長はない。

 ――金融セグメントの物流不動産事業については?

 鎌田 我々もこの市場がここまで急激にシュリンクするとは思っていなかった。これまでに約200億円を投資して倉庫を建設し、流動化・現金化して再投資に回すということをやってきたが、いまはこれ以上、金融セグメントを拡大する考えは持っていない。さいわい現在保有している物件については高い利回りで動いており、このまま保有していてもいいし、逆に買いたいというところがあれば売ることも考えるという是々非々のスタンスだ。仮に保有物件が売れれば、荷主をつけた形で倉庫をつくったり、M&Aの資金にするなど本業であるロジスティクスに特化した再投資を行う。とにかく、いまの負債を増やさない方向で本業に投資していくことが第一だ。

 ――メール便事業を展開するSBSポストウェイの売却を発表したが、これも本業であるロジスティクスに集中する戦略の一環か?

 鎌田 そうだ。フーズレックやティーエルロジコムを買収していく中で、SBSグループの経営のドメインが企業間を中心としたロジスティクスになってきた。BtoCが中心のメール便はやや本業からは外れている。今後は3PLに集中していこうという経営判断の中で売却を決めた。もともとSBSのメーリング事業部という形で自分が15年前に興した事業であり、思い入れも強かったが、ヤマトや郵政がメール便に力を入れている中で、関東エリアだけでやっていても苦しい面がある。それならばグループの外に出したほうが事業の再構築もしやすい。再編を進めていく中で、いまは身軽な状態になってきており、本業であるロジスティクス事業に集中できる体制が整ってきた。

――ここ数年、グループの「改善活動」に力を入れている。

 鎌田 年2回のペースで事例発表会を開くなど力を入れているが、社員数も多く、ようやく意識が根付いてきたという段階だ。まだP/L(損益計算書)にヒットするところまでにはきていない。今年はこれが課題。改善研修を引き続き強化していく。ただ、現場を回していく底力はついてきた。土台は整ってきたので、これに提案力が結びついてくれば面白い物流集団になっていくと思う。3年前にM&Aをいったんストップして、内部を磨くことに専念した。仮にあのままM&Aを続けていたら、金融バブルの崩壊で大変なことになっていたと思う。結果として?踊り場?をつくったことはよかった。

 ――そのM&Aだが、現在のスタンスは?

 鎌田 こんな時期なので、いろいろな話がきているのは事実。いまなら安く買えるし、当社の資金調達力も以前より強くなった。その意味では、完全にM&Aをストップしていた3年前と状況は変わっている。当社とのシナジーを見込める会社であれば規模の大小を問わず前向きに考えたい。

 ――具体的にはどんな業態か?

 鎌田 我々の本業である3PL、ロジスティクスと絡んだ業態だ。アウトソーシングを受託する手法として物流子会社を買収するケースも考えられる。逆に路線トラックには興味がない。また、海外では中国の3PL会社と手を結んでいくことも考えている。国際物流では、日本と中国との物流量はさらに拡大するだろう。

 ――SBSグループの将来像については?

 鎌田 いつも売上高3000億円規模の会社にしたいと言っているが、これはM&Aなしではありえない。とりあえず自助努力で1700〜1800億円、経常利益50億円を出せる会社にしていきたい。経済情勢もあるが、5年程度のスパンで考えれば可能だと思っている。このほか、グループのブランドがばらばらで、SBSという会社が見えにくいという声もある。将来的にはブランドの統一ということも考えたいが、いまは現在の体制で確実に利益を生み出せる会社にしていくことが最優先課題だ。
 

【略歴】 昭和34年(1959年)6月22日生まれ。宮崎県出身。49歳。54年東京佐川急便入社。62年12月関東即配(現・SBSホールディングス)取締役、63年3月代表取締役社長に就任。平成16年6月雪印物流(現・フーズレック)取締役、17年9月東急ロジスティック(現・ティーエルロジコム)代表取締役社長、18年1月全通取締役など、グループ会社の役員を歴任。



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