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六本木通信 4  「歌のなかの物流」

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六本木通信 4「歌のなかの物流」 

恥ずかしいのであまり広言していないが、詩歌を読むのが好きだ。休日などに歌集を広げ、読み耽ることもしばしばである。短歌の世界でも時折、「物流」が歌材として採りあげられることがある。思いつくままに挙げてみよう。

 ガレージへトラックひとつ入らむとす少しためらひ入りてゆきたり    斎藤茂吉

 大歌人・茂吉の歌にしてはあまりに「そのまま」で、一読して拍子抜けした読者も多いのではないだろうか。だが、弟子が後にまとめた『茂吉秀歌』にも収録されている代表歌のひとつなのである。その解説にはこうある。「感情のない機械であるトラックの動きの中に、人間の恥じらいのようなものを認めたのである。山川草木鳥獣以外の近代的無生物を対象に感情を移入したのが特殊でもあり新しくもある」(佐藤佐太郎)。この歌が詠まれたのが昭和10年であることにも注目する必要がある。当時はまだまだトラックが珍しかった時代。だからこそ歌材になり得たのだろう。

 トラックに比べ「貨物鉄道」を詠んだ歌は多い。鉄道全盛の往時を偲ばせて興味深い。

 連結をはなれし貨車がやすやすと走りつつ行く線路の上を       佐藤佐太郎

 操車場(ヤード)があった時代の歌である。「いまは拠点間直行方式で・・・」などと考えるのは悪い職業病か。この歌とよく比較されるのが「つき放れし貨車が夕光に走りつつ寂しきまでにとどまらずけり 宮柊二」。ほとんど同じ光景を歌いながら、佐太郎は写実に徹しているのに対し、柊二は「寂しきまでに」と自己の心象が色濃く投影されている。茂吉の高弟である佐太郎と、北原白秋門下の柊二の短歌観の違いが如実に出て面白い。
 鉄道絡みでは他にこんな歌も。

 廃駅をくさあぢさゐの花占めてただ歳月はまぶしかりけり         小池光

 筆者の愛唱歌のひとつでもあるが、記者風に言えば、国鉄末期に多くのローカル線が廃止されたことなどが連想される。折しも今年は国鉄民営分割から25年。果たして歳月はまぶしいか。

 さらに時代は進んで、最後にこんな歌を。

 「もういやだ俺はペリカン便に行く」クロネコヤマト倉庫の壁に        入谷いずみ

 宅配便戦争が「動物戦争」に喩えられた時代があった。いまやペリカンはどこかに飛び去り、クロネコの独り勝ちとなった(佐川は「飛脚」ですから)。時代は変わっていくということか。 (西村旦)
              

 

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