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【海上輸送】KBSクボタがラウンドユース基盤に共同物流

2017.06.06

ケービーエスクボタ(KBSクボタ、本社・大阪市浪速区、河上和則社長)では、国際海上コンテナのラウンドユースを基盤とした共同物流をグループ内外に拡大していく。昨年には枚方物流センター(大阪府枚方市)で通関業の許可を取得し、一貫物流体制をさらに強化した。コンテナの回送を減らすラウンドユースは、輸出入荷主のトラックドライバー不足対策として注目されているが、実運送を担う運送会社の収益性やドライバーの労働時間に配慮したスキームづくりが成功の肝となっている。KBSクボタではクボタのラウンドユースやJIT(ジャスト・イン・タイム)で培ったノウハウを強みに、ラウンドユースの“成立”から“運用”までをサポートしながら外販を拡大し、輸出入荷主のマッチング率を向上させる。

途切れのないサプライチェーン

1978年に久保田物流サービスとして創立し、90年に現社名に変更。当初はクボタの水・環境部門の国内物流がメインだったが、クボタの機械部門のラウンドユース推進の実務を請け負う中で、国際物流分野に業容を順次拡大。12年に東日本内陸コンテナデポ(ICD)を茨城県つくば市に、15年には西日本ICDを京都市伏見区にそれぞれ開設し、東西でラウンドユースの体制を整えた。
クボタの機械部門に対応する営業第二部の中に海外グループを設置。クボタと他メーカー、クボタ以外のメーカー間で、月間700~1000基のラウンドユース実績を持つ。13年に第2種貨物利用運送事業(外航海運)の許可を得ていたが、通関も一貫して委託したいという要望に応えるため、昨年6月に大阪税関から通関業の許可を取得。途切れのないサプライチェーンを構築し、サービスのシングルウインドー化を図った。

通関サービスを将来的には全国に

クボタの機械部門は自社通関を行っているが、他部門やグループ外の荷主の通関も請け負っていく。17年10月から実施予定の通関業者の営業区域制限の廃止、申告官署の自由化、通関業務料金の自由化については、「ネガティブではなく、ビジネスチャンスととらえたい」(営業第二部の武山義知副部長兼海外グループ長)とし、一貫物流体制を強みにコスト競争力のある通関サービスを将来的には全国に拡大したい考え。

現在、KBSクボタの外販売上比率は海外、国内業務を合わせて約1割。ドレージ、輸出梱包、バンニング、船積み業務、通関とサービスメニューがそろったが、物流元請として最大の差別化となるのがラウンドユース。ICTの活用により輸出荷主の元にコンテナが届く定時性を担保するとともに、ドライバーはデポと港間を往復で実入りコンテナを輸送できるため運送会社の運収アップにも貢献できる。

工場や倉庫、ICDなどで“留め置き”が発生するとドライバーの拘束時間が長くなり、回転率悪化につながるため、運送会社からラウンドユースの賛同を得られない。このためICDに事前にコンテナを準備したり、コンテナの到着に合わせて速やかにバンニングを開始するなどアイドルタイムが発生しない仕組みを構築。運送会社のショートドレージとロングドレージの役割分担でも不公平が生じないよう配慮している。

ラウンドユース等により16年は約1200tのCO2を削減。武山氏は「“公共性”をコンセプトとしており、クボタ以外の荷主にもコンテナを提供できるようラウンドユースを広げるとともに、荷主とネットワークをいかし、国内のトラック輸送のマッチングに水平展開できないか検討中。また、長距離輸送における拘束時間対策として中継輸送にも取り組む必要があり、公共的な中継基地の整備を期待したい」としている。

(2017年6月6日号)


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