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イオングローバルSCMが鉄道コンテナ輸送を拡大

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イオングローバルSCMが鉄道コンテナ輸送を拡大

 イオングループで物流業務を担うイオングローバルSCM(本社・千葉市美浜区、山口緑社長)は、ドライバー不足への対応やCO2排出量削減による環境保全活動のためモーダルシフトを積極的に推進している。2010年に「イオン鉄道輸送研究会」を立ち上げて以降は各メーカーとの連携を強化し、鉄道へのモーダルシフトに対してより一層注力している。現在イオンでは幹線輸送量の約2割を鉄道コンテナ輸送が担っているが、今後は鉄道輸送と海上輸送の組み合わせを推進することで、将来的にはモーダルシフト率を5割程度にまで高めていきたい考えだ。

 ●10年に「イオン鉄道輸送研究会」を発足、モーダルシフト拡大を加速

 08年、JR貨物と共同でイオングローバルSCM内にモーダルシフト推進プロジェクトを設立しイオングループ内の物流においてモーダルシフトの取り組みを開始。10年にはイオンの取引先との情報共有を目的として定期的に開催している「イオン会」の物流分科会の、CO2削減ワーキングの中で「イオン鉄道輸送研究会」に発展し、メーカー各社との鉄道輸送ノウハウの共有や鉄道による共同輸送を本格的に推進するための検討が始まった。

 イオングローバルSCM事業本部運営管理部の坪井康彦部長は、「輸送において最重要課題となるのは店舗に商品を安定的に供給すること。店舗にお越しいただいたお客様に欠品することなくお買物を楽しんでいただけるよう遅延や欠品することなく店舗に商品を届けることが当社の使命だ」とし、昨今のドライバー不足によりトラック輸送力の安定的供給の確保が課題となる中、「大量の貨物を1人の運転士が定時で安定的に輸送できる鉄道輸送の利点を積極的に取り入れることが重要になってきた」と述べる。

 加えて、同社では環境保全活動の一環として物流分野でも「環境負荷ミニマム」活動を展開しており、CO2排出量削減に有効なモーダルシフトのさらなる拡大を図ることとした。
 09年度以降、モーダルシフトを順次拡大するに伴い、10年には「イオン鉄道輸送研究会」を発足。メーカー17社とJR貨物および通運事業者5社で立ち上げ、現在の参加企業は32社(メーカー22社、物流事業者10社)となっている。同研究会では、CO2排出量の削減とドライバー不足への対応を目指し、鉄道輸送の利用拡大を図ることを取り組みのテーマとした。現在、同研究会は年2回のペースで開催している。


 ●31ftコンテナの活用推進や異業種間での「共同専用列車」運行を実施

 モーダルシフト拡大に取り組み始めた08年度から09年度は、イオン単独でのモーダルシフトを開始。アパレル商品の幹線輸送と同社PBブランド「トップバリュ」商品の集荷で鉄道輸送を拡大、08年度から10年度にかけて大きく実績を伸ばしていった。11年度は同年に発生した東日本大震災の影響を受け、前年比12%減となったが、12年度以降はイオングループ単独での取り組みからメーカー各社とのマッチングなどに注力。共同物流の取り組みにより積載率向上を図り、効率性を高めていった。

 14年9月には花王と共同で東京〜福岡間で鉄道コンテナ輸送を開始。東京〜福岡の往路では花王製品を、福岡〜東京の復路では「トップバリュ」商品を同じ鉄道コンテナで輸送する。従来のトラック輸送と比べ、往復で約2・1tのCO2排出量の削減を図った。また、この取り組みでは31ftコンテナを活用。従来の12ftコンテナの約2・5倍の長さであり、大型トラック1台分の積載量に見合っているため、スムーズなモーダルシフトが可能となった。

 同年12月14日、21日には年末の旺盛な需要に対応し、イオンの他、ネスレ日本、アサヒビール、花王、江崎グリコの異業種各社が共同で東京〜大阪間の専用列車を運行。翌15年4月12日、19日には前年12月の共同専用列車への参加各社に加え、サッポロビール、P&Gも参加した共同専用列車を運行。同年には31ftコンテナを活用したネスレ日本との静岡〜福岡間のマッチング輸送やサッポロビールとの共同専用列車を長野〜東京間で運行するなど、共同物流に積極的に取り組んできた。直近では今年2月に花王、サントリー、ネスレ日本との共同による31ftのカラーリングコンテナ作成も話題となっている。

 同社では積極的なモーダルシフト拡大を進め、08年度では12ftコンテナ換算2400個の規模だったが、16年度では約4万2000個相当と大きく増加している。
 坪井部長は「グループ全体の輸送を見た時に店舗に配送する部分はトラックでないと運べないが、中長距離輸送をトラックだけに依存することは安定供給の観点からリスクが高く、トラック、鉄道、船舶をうまく組み合わせることにより安定供給とコストの圧縮が追及できる」と話す。また、昨年9月からは、「東北エリアへの幹線輸送を、すべて鉄道利用に切り替えている」と説明。東北エリアへの輸送は比較的長距離に及ぶため、トラック輸送と比べ輸送コスト削減が実現した。

 ●輸送障害時の情報開示と使いやすいダイヤの実現に期待

 深刻な労働力不足や環境面での対応が緊急性を増す中、モーダルシフトの気運はより一層の高まりを見せている。
 坪井部長は鉄道へのモーダルシフトについて「多くの荷主が関心と意欲を持っており、イオン鉄道輸送研究会でも各社の声を吸い上げ、鉄道利用の拡大につなげていきたいと考えている。しかし鉄道輸送には課題もある」と指摘する。「最大のネックは輸送障害だ。輸送障害発生に対し、代替輸送など適切な対応を行うためには正確な情報が不可欠だ。JR貨物への要望として輸送障害発生時の列車の位置情報や復旧予定など必要な情報を荷主に対してもリアルタイムに共有してほしい。遅延は店舗の欠品に直結する。遅延影響を最小限にするため、当社と共にJR貨物、通運事業者が真剣に考えなければならない課題だ」と注文する。

 また、「利用拡大のためには使いやすいダイヤが増えてくれるとありがたい。具体的にはリードタイムの面で積込時間の締め切りがなるべく遅く、目的地には早く着く列車が望ましいが、22時台〜0時台の列車が増えれば、さらに利用者が増えるのではないか」と提言する。

 モーダルシフトへの追い風が吹く中、JR貨物は今年度の鉄道事業の黒字化を目指しているが、その実現のためには鉄道輸送の拡大が必須となる。坪井部長は「モーダルシフトは労働力不足や環境問題など社会的課題解決に向けて要請されている側面もある。現在のイオンの幹線貨物の総輸送量の約20%が鉄道で運ばれているが、将来的には50%にまでモーダルシフト率を高めていきたい」と意欲を示す。「そのためにもJR貨物には荷主の要望する声を活かし、利便性のさらなる向上を図ってほしい」と期待する。

 (2017年3月30日号)

 

 

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