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セイノーHD、人件費上昇で今期業績は堅め予想

2018.05.24

セイノーホールディングス(本社・岐阜県大垣市、田口義隆社長)は今期、中期3ヵ年経営計画(2018年3月期~20年3月期)に掲げる「第2次総合物流商社の完成」と「オープン・パブリック・プラットフォームの構築」の実現に向けた各種施策を進める。業績面では18年3月期に続いて増収増益を見込むが、人手不足を背景とした人件費の上昇も想定され、18日の決算説明会で田口社長(写真)は「動向が読み切れないところもあり、堅めの予想値とした」と説明した。

18年3月期の連結業績は、売上高5961億3000万円(前期比5・0%増)、営業利益278億7900万円(2・8%増)、経常利益291億2000万円(0・7%増)、純利益200億4600万円(10・1%増)の増収増益。用車・外注費と人件費が嵩んだが「想定内の数字」(田口氏)であり、輸送グループの増収や新規荷主の獲得でマイナス分を吸収した。

主力の輸送事業は、幹線便のダイヤグラム化鉄道シフト、適正料金収受などの各施策が奏功して、売上高4431億6700万円(4・8%増)、営業利益209億6500万円(4・7%増)と堅調。運賃収受率は前期の51・6%から55・1%へ上昇し、適正運賃収受で1・0%、実費収受で0・2%、サーチャージで0・2%の増収効果があった。この結果、全体の単価は2・0%強上昇し、物量も1・5%程拡大した。

その上で、19年3月期はセールスアップ策として小口とロットのマルチ混載輸送サービスを広げるとともに、引き続き、製造業などの荷主企業へ在庫削減ソリューションやロジトランス機能の提供を拡大する。決済や保証サービスといった金融面からのサポートも強める。

業務効率化では、位置情報サービス「いち知る」で問い合わせ削減と顧客満足の向上を図るほか、荷主企業とのEDI化率を今期は65・7%から80・0%へ引き上げる。さらに、RPA(Robotic Process Automation)を導入して単純作業を自動化し、RPA化率を14・0%から40・0%へ上昇させる。

関東運輸と連携したコールドチェーンネットワークの構築では前期、5ヵ所の冷蔵・冷凍物流拠点を基点に冷蔵冷凍商品の中ロット輸送サービス「フレッシュライナー便」を6路線8便で運行。今期は全国への展開を図り、「医薬品や精密機械などの輸送需要も取り込みたい」と田口氏は意欲を示す。

オープン・パブリック・プラットフォームの一環である福山通運との協業は、共同配送「エコデリバリー」の届け先を今期、53ヵ所から61ヵ所へ拡大。幹線の共同運行も109コースから179コースへ増やし、エコアライアンスでの実運送を伴う共同運行も10コースから24コースへ増便したい考え。

また、前期に株式の34%を取得した阪急阪神エクスプレスとは、既に燃料の共同仕入れを行っており、「今後は阪急阪神グループが経営する宿泊施設のオペレーションの共同化なども可能性があるのでは」(同)とした。来夏には阪急阪神エクスが西濃運輸の成田新拠点へ同エリアの物流機能を集約する予定もある。

運賃単価については、4月で7%強、5月も8%程と大きく上昇。西濃運輸の神谷正博社長は「昨年12月に約款変更、翌1月に単価改正の届け出をしたことで、この4月からの値上げに了解を得たお客様が多いため」とその理由を説明した。他方で、来期に掛けての料金交渉について田口氏は、「同業他社の決算が好調であるため、荷主企業は心理的に少し(値上げへの対応が)鈍るのではないか」との見方を示した。

19年3月期の連結業績予想は、売上高6020億円(1・0%増)、営業利益284億円(1・9%増)、経常利益308億円(5・8%増)、純利益196億円(2・2%減)。設備投資額は大型物流拠点の新設など戦略的投資で275億円(前期は213億8100万円)を見込む。
(2018年5月24日号)


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