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【物流効率化】今年は「生産性革命」深化の年=石井国交大臣・新春会見

2018.01.09

国土交通省の石井啓一大臣は新年にあたって専門紙記者と会見し、2018年の抱負と物流行政について語った。会見の趣旨は次の通り。

国交省の最大の使命は「安全・安心」

国土交通省の最大の使命は、これまでと変わらず、安全・安心の確保だ。交通分野でも安全・安心の確保を最優先の任務として、今年もしっかり取り組んでいく。
日本はすでに人口減少・超高齢化社会に突入している。潜在的な成長力を高めるとともに新たな需要を掘り起こしていくために、働き手の減少を上回る生産性の向上が求められる。国交省として、2016年を生産性革命の元年として20のプロジェクトを選定した。17年は生産性革命前進の年として各プロジェクトの具体化を進め、物流生産性革命としてさまざまな取り組みを行ってきた。

小さなインプットで大きなアウトプットを

今年は生産性革命を「深化」させる年として、施策をさらに進めるとともに、生産性革命の基礎にある“小さなインプットで大きなアウトプットを生み出す”という考え方を国交省のあらゆる施策に活かしていきたい。

現在は人手不足が深刻化しているが、その課題に対応するため、春頃には政府としての働き方改革の行動計画を策定し、取り組みを進めていく。
併せて地方創生も重要な課題で、地域間の幹線交通のさらなる充実による地域の活力向上を図っていく。

さらに、世界の旺盛なインフラ需要を取り込んでいくことも重要だ。国交省としてはわが国の事業者の海外市場への積極的参入を促進していく考えだ。
今後の施策を通じ、国民生活の安全の確保や持続的な経済成長の実現に向け、国交省の強みである現場力を活かし、さまざまな課題に取り組む。

人を引き付ける魅力ある産業に

自動車運送事業は、近年担い手不足が深刻化している。政府が一体となって進めている働き方改革により、職業としての魅力を高め、必要な人材を確保していくことが喫緊の課題となっている。

17年8月には自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議において、直ちに取り組む施策を取りまとめたところで、関係省庁と連携しながら長時間労働の是正のための施策の迅速な実施を図っている。

今年も、引き続き関連の施策の展開とさらなる強化を進め、働き方改革の行動計画では荷主などの理解を得つつ、生産性の向上や多様な人材の確保等の環境整備を進めていく。
これらの取り組みを推進し、自動車運送事業が多様な人材を引き付ける魅力ある産業になるように努力する。

高速など、物流ネットワークの整備に注力

人口減少社会においても、それを上回る生産性向上があれば経済成長は十分可能だ。社会資本の整備でも、「安全・安心」の確保を前提として、生産性を向上させるストック効果が地域の隅々で最大限に発揮されるよう重点的略的な取り組みを加速させる。

経済成長を実現するには、エンジンである大都市圏の生産性を向上させなくてはならない。そのためにも、18年度は全国の物流ネットワークの核となる高速道路について、財政融資を活用し、圏央道、東海環状などの大都市圏の環状道路の整備を行う。これにより生産性向上を進めることが昨年末の財務大臣との折衝により認められた。

物流分野での生産性向上について申し上げれば、16年に開始したダブル連結トラックの実証実験については、今年度の本格導入を目指して実験を推進していく。

トラックの隊列走行は22年実用化へ

自動運転技術の実用化により、安全性向上とドライバー不足の解消が期待されており、国交省では自動運転戦略本部のもとで取り組みを進めているところだ。
先頭車両が有人で後続車両が無人のトラックの隊列走行については2020年度に新東名高速道路での後続無人隊列走行を実現し、22年度以降に東京~大阪間での高速道路での事業化実現を目指す。今年から、後続車両有人での公道での実証実験を開始する予定だ。

また、17年から実施している中山間地域の道の駅を拠点とする自動運転サービスの実証実験は、地域の特性を活かしたビジネスモデルを構築するための内容を充実させて引き続き実施し、社会実装の推進を図る。
今後も社会資本のストック効果を最大限に発揮できるよう重点的かつ戦略的な取り組みを加速化する。
(2018年1月9日号)


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