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「荷主との取引条件改善が重要だ」=国交省・奥田自動車局長会見

2017.08.01

国土交通省の奥田哲也自動車局長は7月27日に記者会見を開いた。奥田氏は7月7日付で自動車局長に就任。前職の鉄道局長としてはリニア中央新幹線の整備促進のための法律案をまとめるなど鉄道行政に尽力した。今後は自動車行政での手腕の発揮が期待される。
会見ではトラック運送事業者と荷主の取引条件を改善することが生産性向上につながると述べ、関係者全員の努力が重要だと力説した。会見の趣旨は次の通り。

トラック運送業の生産性向上へ様々な取り組みを支援

いまや自動車なくして我が国の経済は成り立たないと言っても過言ではない。自動車行政に求められるものは、自動車による運送や、製品としての自動車の安全、効率、環境といった信頼性を確保し、高めていくことだ。先端技術の進歩に応じて自動車への社会的ニーズも変化してきている。そうした新たなニーズにしっかり対応していくことが行政には求められている。最重要である「安全」を基礎として施策に取り組んでいく。
運送事業の効率性についての考え方も、新技術の発展や物流を取り巻く環境変化により大きく変化してきている。また、現在、政府全体で取り組んでいる働き方改革や生産性向上へ向けた様々な取り組みの一環として、トラック運送業でも、貨客混載輸送をはじめ、ダブル連結トラック活用のための実証実験や自動運転技術による隊列走行実現へ向けた取り組みなど、いくつもの新しい動きが出てきている。行政として、このような取り組みにより、トラック運送業のさらなる生産性向上に資するように様々な施策を講じて支援していきたい。

荷主への働きかけを強め、取引環境改善へ

自動車運送業は、全産業平均と比べて労働時間は約2割長時間であり、一方賃金は約1~3割低いという厳しい実態がある。また、就業時間の不規則性や拘束時間の長さや、荷役に関しても手荷役が少なくないということが若年層や女性の業界への参入の障壁になっている。業界が将来の担い手を確保することがかなり難しくなってきている。

働き方改革に向けて労働基準法が改正され、改正法施行の5年後には、トラック運送業も時間外労働の上限を年間960時間に規制され、将来的には一般則の720時間適用を目指していく。いまこそ、そのための準備に取り掛からなくてはならない。施行後5年間といっても悠長にしてはいられない。上限規制960時間の後、一般則の720時間を実現するのは簡単なことではないと認識している。しかし、困難だからといって長時間労働の是正に取り組まなければ生産性向上は図れない。事業者や荷主などすべての関係者が協力して努力しなければならない。

荷主と事業者の関係については、荷主都合の手待ち時間の削減など、見直すべき点を見直し、適正な取引環境を整備していくべきだ。そのためには行政による荷主への働きかけも必要だと考えている。今後は荷主勧告制度などを柔軟に活用することに加え、経産省や農水省とも協力しながら、しっかり取り組んでいきたい。現在、関係省庁間で「自動車運送事業の働き方改革に関する関係省庁連絡会議」を開催しているが、こうした場を活用し、生産性向上への取り組みや多様な人材が働きやすくなるように長時間労働是正のための環境整備をしっかり行っていく考えだ。「関係省庁連絡会議」では、来月にも当面の対応方針をまとめ、今後の行動計画を定めていく。手荷役からフォークリフトなどを活用する機械荷役への転換をはじめ、トラック予約システムの導入、貨客混載輸送の拡充などの取り組みを進めることで、生産性向上や若年層・女性の業界への参入を促進するなど、実効ある施策を進める。

自動運転技術への期待

国交省では石井啓一国交大臣が本部長を務める自動運転戦略本部が中心となり、自動運転技術を活用するための施策に取り組んでいる。自動運転技術の普及により、交通事故の削減や地域交通の維持・活性化に大きな効果があると考えている。実証実験を着実に進め、社会実装に向けて努力していく。

18年度予算概算要求については、自動車局としては、安全対策の強化をはじめ、技術の活用、働き方改革の推進、環境対策推進、自動車の適切な保守管理、被害者対策の充実などが主な柱となる。概算要求基準(シーリング)において重点政策となっている人材投資や中小企業の生産性向上は、まさに働き方改革のテーマそのものだ。課題に取り組むための予算はしっかりと要求していきたい。

奥田哲也氏(おくだ・てつや) 1961年9月2日生まれ。84年3月東京大学法学部卒。同年4月運輸省入省。自動車交通局旅客課長、航空局航空ネットワーク課長、大臣官房総括審議官などを経て、2016年6月鉄道局長、17年7月現職。

(2017年8月1日号)


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