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陸海空の結節点「東京レールゲートEAST」竣工=JR貨物

2022.07.26

JR貨物(本社・東京都渋谷区、犬飼新社長)は22日、東京貨物ターミナル駅(東京都品川区)構内に建設を進めてきたマルチテナント型物流施設「東京レールゲートEAST」の竣工式を開催した。同施設は地上5階建て・延床面積17万㎡超を誇る都内屈指の大型物流施設であるとともに、貨物駅に加えて、東京港コンテナターミナル、羽田空港が至近にあるなど陸・海・空の物流結節点としての立地優位性を持つ。テナントにはヤマト運輸、近鉄ロジスティクス・システムズ、ナカノ商会の3社の入居が決定し、満床での稼働となった。同日、会見した同社の真貝康一会長は「東京貨物ターミナル駅が持つ陸・海・空の結節点という立地上の優位性を活かし、駅ナカのマルチテナント型物流施設として様々な物流ニーズに応えていく」と意気込みを語った。

延床面積17万㎡超、都内屈指の大型施設

東京レールゲートEAST(写真)は、2020年3月に営業開始した隣接の「東京レールゲートWEST」、今年6月に営業開始した「DPL札幌レールゲート」に続き、レールゲートブランドを冠した物流施設としては3ヵ所目。同施設は三井不動産が開発計画の企画立案とテナント誘致を担当。竣工後は施設の運営・管理を担うなど、国内外で数多くの先進的物流施設を開発してきた同社のノウハウを活かした施設となった。

敷地面積7万6493㎡、建物は鉄骨造・地上5階建てで、延床面積17万4404㎡、賃貸床面積は14万7014㎡で、都内湾岸地区の物流施設としては有数の規模を誇る。

最大の特長となるのが、その圧倒的な立地優位性。日本最大の貨物駅である東京貨物ターミナル駅構内に立地し鉄道へのアクセスに優れているほか、首都高湾岸線大井南ICから約1・3㎞、首都高羽田線平和島ICから約2㎞、東京港国際コンテナターミナルから約1・5㎞、羽田空港から約3・5㎞と、陸・海・空の物流結節点として多様な輸送ニーズに対応することができる。また、首都圏の半径20㎞圏をカバーできるため、ラストワンマイルを含めた配送拠点としての優位性も持つ。

施設はダブルランプウェイを採用して各階への車両の乗り入れをスムーズにしたほか、施設内は5・5mの倉庫天井高を確保。また、1階北側に冷蔵(5℃)、冷凍(マイナス20℃)対応エリアを設けたのに加え、北側バースは12ftコンテナ用フォークリフトが直接乗り入れできる仕様にするなど、鉄道との連携にも配慮している。

BCP対応、環境面でも様々な配慮

災害時のBCP対応や環境面での取り組みにも力を入れている。BCP面では、東京湾平均海面より7・45m高くすることで、高潮や津波発生時の浸水可能性を低減したほか、接道(都道316号線)より高い地盤面に建設。さらに、免震装置を採用し、地震発生時の被害を最小限に抑える。停電発生時に72時間供給可能な非常用発電設備も備えた。

環境面では屋上に太陽光発電設備を設置。JR貨物として初のオンサイトPPA導入物件として、施設共用部で年間に必要な電力の6割相当を自家発電による再生可能エネルギーで賄う。これにより、年間1495tのCO2を削減する。また、倉庫は人感センサー付きLED照明を採用したほか、屋上緑化、雨水を利用した植栽灌水設備、電気自動車充電スタンド、シェアサイクル用のサイクルポートを整備するなどグリーン社会の実現を目指した取り組みを実施している。環境認証ではBELS(建築物省エネルギー性能表示制度)で5つ星の評価を取得したほか、CASBEE(建築環境総合性能評価システム)のAランク相当の仕様で建設しており、竣工後に認証取得の申請を行う予定。

「日本一の立地に、日本一のスペック」

22日に行われた記者会見には、JR貨物からは真貝会長のほか、野村康郎取締役兼執行役員事業開発本部長、三井不動産からは三木孝行・取締役専務執行役員ロジスティクス本部長が出席。

真貝会長は東京レールゲートEASTの竣工について「2014年から足掛け10年近く取り組んできた、東京貨物ターミナル駅の高度利用プロジェクトの集大成」だとした上で、「東京タには陸・海・空の結節点という立地上の優位性がある。そこに三井不動産さんの運営ノウハウを活かしていくことで、駅ナカのマルチテナント型物流施設として様々な物流ニーズに応えていく」と述べた。

また、三井不動産の三木専務は「2015年から足掛け7年のプロジェクトだったが、まさに日本一の立地に、日本一のスペックを持った物流施設が竣工したと思っている」と自信を見せた。竣工時満床になったことについては「約1年半前の起工式の際に『必ず満床で竣工させる』と言ったが、それが実現できた」と述べ、ヤマト運輸、ナカノ商会、近鉄ロジスティクス・システムズと賃貸借契約を結んだことを報告した。

入居するテナント企業の鉄道利用について、真貝会長は「3社とも全国各地で鉄道を使っていただいているが、当施設についても様々な提案をしていきながら鉄道利用を働きかけていく」と表明。今後のレールゲートの展開については「取扱量の大きい貨物駅を中心に駅ナカ、あるいは駅チカの倉庫を展開して、貨物鉄道と他の輸送モードとをシームレスにつなぐモーダルコンビネーションを実現していく。具体的には新駅への移転が予定されている仙台貨物ターミナル駅のほか、名古屋、大阪、福岡などが候補に上がっている」と述べた。
(2022年7月26日号)


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