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丸和運輸機関、EC物流拡大で売上高2400億円へ

2022.06.02

丸和運輸機関(本社・埼玉県吉川町、和佐見勝社長)は、今期を初年度とする「中期経営計画2025」(23年3月期~25年3月期)で売上高2400億円(22年3月期実績比20・0%増)、営業利益171億円(25・7%増)、経常利益175億円(25・0%増)を目指す。とくにEC関連は今年3月に子会社化したファイズホールディングスの連結寄与や、米大手EC向けの幹線輸送およびセンター運営の受託拡大などにより、計画3ヵ年で売上高940億円から1896億円へ倍増させる。5月24日に開かれた22年3月期の決算説明会で和佐見社長(写真)は「成長するマーケット、成長する顧客をターゲットとして事業規模の拡大を図る。非常に高い目標数値だが必ず実現できる」と強調した。

EC関連の売上高を3ヵ年で2倍に拡大

ドメイン別に見ると、EC宅配を展開する「ラストワンマイル事業」は、EC市場の規模拡大に対応する車両の確保と人財育成を進めることで毎期20%以上の成長を継続。25年3月期に売上高566億円(22年3月期比88・6%増)、CAGR(年平均成長率)23・6%を計画する。

ECセンター間の幹線輸送を行う「EC常温輸配送事業」も幹線ネットワークの構築による成長基盤の強化を図りながら、毎期20%以上の増収を計画し、25年3月期売上高750億円(90・3%増)、CAGR23・9%を見込む。

ECセンター運営の「EC常温3PL事業」では、ファイズHDの収益(22年3月期売上高180億4500万円、営業利益5億7500万円)が上乗せされ、25年3月期売上高580億円(2・3倍)、CAGR33・1%を見込む。また、20年に買収した日本物流開発も「土浦新センター」(茨城県土浦市)を来年6月に開設する計画で、同社では中堅ECの物流受託を進める。

スーパーマーケット向けビジネスを展開する「低温食品3PL事業」は25年3月期売上高238億円(26・9%増)、CAGR8・3%の予想。埼玉県松伏町に取得した用地約21万㎡に、低温食品物流専用の大規模拠点「AZ-COM Matsubushi」の建設を計画中で、和佐見氏は「日本で最大の投資になるだろう」とした上で「5階建てで屋上は乗用車1000台分の駐車場となる。それぐらいの規模の施設をイメージしてほしい」と紹介した。

同施設は庫内作業の完全自動化を図るとともに、海外実習生計1000人が入居可能な寮も併設する計画。HACCPにも対応した上で、完成予定の東埼玉道路を活用した東京都心向けの低温食品配送などを想定する。さらに、「産直」の拠点としても位置づけ、提携関係にある全日本空輸と連携してスーパーマーケット向けの朝どれ野菜即日配送サービスなどを展開する。

マツキヨ&ココカラ拠点九州・東海・関西・関東に

マツキヨ&ココカラカンパニーなどの物流業務を担う「医薬・医療3PL事業」はCAGR9・8%を計画。25年3月期には旧・マツモトキヨシと旧・ココカラファインの共同物流が本格化されると見られることから、前期比25・0%増(23年3月期実績比32・3%増)の売上高255億円を見込む。マツキヨ&ココカラカンパニーの統合物流拠点は24年開設の九州と東海のほか、大阪1拠点と関東では吉川町などで2拠点を新設し、業務を全面受託する。和佐見氏は「旧ココカラとの共同配送で取扱物量は従来の1・6~1・7倍になり、既存のマツキヨ専用センターでは間に合わないため新拠点を開設していく」と説明した。

各ドメインの事業拡大・開拓に向けて人材採用も強化し、今後5年間で新卒採用3000人、中途採用2000人を新規雇用して正社員数を倍増させ、平均年齢も現在の38歳から31・5歳へ若返らせることでローコスト経営につなげる。併せてDXにも取り組み、物流センターのロボット化を進めるほか、産学連携によるドローンや自動運転技術の研究にも参加していく。SDGs対応の一環として、12ftクールコンテナによる鉄道輸送も推進する。

このほか、BCP物流では、今年4月に仙台市で開設した「仙台長町未来共創センター」をモデルケースに据えながら、自治体との協定締結を全国で進める。BCP物流を支えるネットワークでもある、協力会社会「AS‐COM丸和・支援ネットワーク」は、現在の1730社体制を25年には3500社将来的には1万社体制へ会員会社数を引上げる。

22年3月期は増収増益、今期物量増で2ケタ成長

22年3月期の連結業績は、売上高1330億円(前期比18・6%増)、営業利益86億4900万円(7・8%増)、経常利益91億3900万円(10・6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益61億2500万円(10・6%増)の増収増益だった。

物流事業をドメイン別に見ると、EC・常温物流は672億9700万円(46・1%増)と大幅に伸長。従来のラストワンマイル業務からセンター間幹線輸送やソートセンターおよびフルフィルメントセンターの運営受託へと事業の幅を広げたことが奏功した。

食品物流は、コロナ禍の反動減から444億2300万円(0・8%減)と微減だった。
医薬・医療物流はインバウンド需要の剥落で売上高203億300万円(0・1%増)とほぼ横ばい。ただ、今期についてはインバウンドの回復が見込めることや、マツキヨ&ココカラカンパニーの物流受託などで、成長を見込む。

23年3月期の連結業績予想は、全ドメインで物量の増大が見込まれることから、売上高1715億円(28・9%増)、営業利益111億3000万円(28・7%増)、経常利益115億2200万円(26・1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益73億8000万円(20・5%増)の2ケタ増収増益見通し。設備投資額は111億3000万円の計画で、物流施設開発やシステム・マテハン機器などに投じる。なお、施設投資について和佐見氏は「目が届くような場所であれば土地にも直接投資するが、それ以外はリース調達とする」との考えを示した。
(2022年6月2日号)


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