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道路問題対応で「道路企画室」を新設=全ト協

2020.04.09

全日本トラック協会(坂本克己会長)では、道路問題への対応を推進する体制を強化するため、1日付で、企画部に「道路企画室」を新設した。トラックドライバーの働き方改革の実現には、高速道路をはじめとした道路整備および大型車両に対応した道路網の整備が不可欠であることから、道路関係対策の推進体制を整え、関係当局への要望活動をさらに強力に推し進めていく。

「道路問題への対応」が重点取り組みに

トラック運送業界ではドライバー不足が深刻化し、働き方改革関連法により2024年4月からトラックドライバーにも時間外労働について罰則付きの上限規制が導入されると、ドライバー不足にさらに拍車がかかることが予想される。安定的な輸送力を供給するには、ドライバーの労働環境を改善し、担い手を確保することに加え、車両の大型化をはじめとした輸送効率向上が求められている。

そのカギとなるのが道路整備で、とりわけ大型車が誘導車や時間の制限等なく、高速で走行できる道路網の整備が輸送効率の向上には不可欠となる。こうした背景から、全ト協では2020年度の事業計画において、「働き方改革の完遂」と「人材確保への対応」を最大の課題と位置づけたうえで、「改正貨物自動車運送事業法への対応」と「道路問題への対応」を重点取り組みに挙げた。

具体的には、道路関係対策への注力推進に向け、①推進体制の整備(常任委員会の設置等)②重要物流道路の強化に向けた国および道路関係団体との連携③地方公共団体との連携に向けた対策の推進――に取り組むこととし、1日付で企画部に「道路企画室」を新設。同室は3人体制で、その活動をサポートしていく。

従来は、道路整備やトラック運送事業者にとって利用しやすい高速道路料金の実現に向けた要望活動は企画部が担当し、特殊車両通行許可制度の改善にかかる要望については輸送事業部が中心となってとりまとめていた。輸送事業部が所管する12の部会のうち、特殊車両の運行と密接にかかわる重量部会、鉄鋼部会、鉄骨・橋梁部会の3部会の所管を道路企画室に移管し、同室で道路問題全般をカバーしていく体制とする。

トラック輸送において高速道路を利用することは輸送時間を短縮でき、ドライバーの労働負荷を軽減できるほか、高速道路に設置されたSA・PAの活用は改善基準告示の遵守にも寄与する。定時性の向上により、「遅延を防ぐために早く出発して納品先で待機する」といった非効率の解消にもつながり、高速道路等の整備や利用促進、トラック運送事業者にとって利用しやすい料金制度の実現が求められている。

具体的には、物流上、重要な道路輸送網として機能強化、重点支援を行う「重要物流道路」の整備拡充のほか、高速道路で休憩施設同士の間隔が離れている区間での一時退出を可能とする「賢い料金」の充実、特殊車両通行許可制度の改善・見直しによる、許可の迅速化や手続きの軽減などが重点テーマとなっており、全ト協では、道路の積極的な活用に向けた諸施策の実現に向け要望活動をさらに推進していく。
(2020年4月9日号)


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