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MCLCがローリー荷役予約システムを導入

2020.02.18

三菱ケミカル物流(MCLC、本社・東京都港区、横山一郎社長)は、尼崎油槽所(兵庫県尼崎市)でローリー荷役予約システムを導入した。油槽所に入場するローリーの待機時間削減を図るもので、昨年9月からまず1レーンを対象に運用を開始し、待機時間を平均で約4割削減したほか、油槽所側の作業計画の効率化にもつながっている。1月下旬からもう1レーン対象を増やし、今後も必要なレーンへの水平展開を予定している。なお、油槽所での予約システム導入は全国的にもめずらしい。

作業開始より早く到着している車両も

MCLCでは2017年に働き方改革トップ宣言が出され、「現場系作業改革」「オフィス自動化プロジェクト」「オフィス自動化プロジェクト」を全社的に進めている。尼崎油槽所(写真)では、敷地が横長の形状で、ローリー充てん場所が構内の3ヵ所に分散しており、充てん場所によってローリーの待機が問題となっていた。
具体的には、「1~8レーン」「9~13レーン」「14、15レーン」と3ヵ所に分かれている充てん場のうち、とくに待機時間が長いのは、最も奥の「14、15レーン」。先着順に受け付けするため、1番に作業してもらえるように作業開始よりだいぶ早い時間に到着している車両もあり、路上に待機車両が並んでしまうこともあった。

そこで「14、15レーン」を対象に予約システムの導入を検討。同レーンでは5つの製品を扱い、1日あたり30台の作業を行う。「荷主の手配や引き取りなどMCLC側でコントロールできない車両が7~8割あり、予約システム導入に際しても関係者との調整に苦労した」(尼崎油槽所の橋本義信所長)という。

油槽所の作業計画の効率化にも効果

このため三菱ケミカルの製品を扱い、MCLC手配による車両の入場比率が高い「14レーン」を対象に予約システムの導入を決定。運送会社は専用IDとパスワードが付与され、40分ごとに刻まれた予約枠のうち空いている時間帯を端末から予約し、予約日2日前のオーダー確定とともに仮予約から正式な予約へ切り替わる。

この予約システムでは、一日のうち予約を入れることができない「ブロック」の時間帯を油槽所側が任意で設定できるようになっている。働き方改革を進める中で、「ブロック」の時間帯を設けることで作業員の早出残業を減らし、昼休みの時間帯を確保。また、「ブロック」をバッファとして活用し、予約車両以外の緊急対応も行える。
従来は作業が先着順のため午前中に車両が集中していたが、予約システムを導入したことによって午後の予約が増えたという。「ケミカル品は朝一番の納品指定が多い。“宵積み”にもかかわらず、前日の朝、積みに来る車両もあったが、予約システムを導入したことで午後の予約が増えた」と報告する。

1台あたりの平均待機時間は44%減少

予約システムの導入後、1台あたりの平均待機時間は44%減少。作業計画の効率化にも効果があり、昼休みの作業発生件数も激減した。予約外の車両の入場はほとんどなく、入場頻度が少ない車両に対しても予約を案内し、電話で受付に対応。「予約なしで来られるよりは電話でもいいから予約してもらった方が効率的に運用できる」という。
1月22日から「12レーン」で運用を開始。今後、“本丸”である「15レーン」への展開も目指している。予約システム導入は効果が出ている一方で、予約時間よりも早く入場し、構内で“待機”している車両もまだ見られるなど、「遅れてはならぬ」というドライバー特有のマインドチェンジも課題となっている。

また、「充てんの予約枠がいっぱいでも荷主への変更依頼が難しい。午前中の納品指定時間を午後にずらすなど、指定時間を外すだけでも配車の負担が軽減される」と指摘する。なお、指定時間に納品に行っても顧客のタンクがいっぱいで荷降ろしができない――というケースもあり、サプライチェーン全体でローリー運行の非効率の見直しも必要となる。

今回の予約システムはHacobuが提供するトラック予約受付システム「MOVO Berth」を採用。送り状の受け渡し業務があるため受付の電子化機能は使用せず、予約システムのみ運用する。「汎用システムのため予約一覧表に『製品名』を入れることができない点もあるが、リーズナブルな利用料金が導入の決め手となった」という。
(2020年2月18日号)


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