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レポート(3) 化学品・危険物物流で“共同化”“協業”が加速

2017.05.30

汎用品の生産が海外にシフトし、化学品の多品種小ロット化、高付加価値化が進む一方で、それに対応する物流体制はまだ十分確立されていない。物流業界の労働力不足でとくに化学品・危険物の幹線輸送については路線便が敬遠しがちなこともあり、大手化学メーカーの“物流共同化”が加速。また、危険物施設は投資の負担が大きいことから、危険物を扱う物流会社による“協業”が広まっている。

●メーカーの共同物流、“脱路線”の動きも

近年、トラックドライバー不足により、とくに長距離小口化学品の輸送能力の安定確保は荷主企業に共通する喫緊の課題。千葉県京葉地区に工場を持つ化学メーカー6社は昨年秋から、共同物流をスタート。参加企業は三井化学、出光興産、東レ、JSR、プライムポリマー、三井・デュポン ポリケミカル。第1弾では東北エリアを対象とし、今後は他エリアに水平展開していく。

2015年7月からは、4社(三菱ケミカル、三菱ケミカル物流、住友化学、住化ロジスティクス)が、三菱ケミカルの水島事業所、住友化学の愛媛工場から北関東地区向けの危険物小口輸送について、北関東の危険物倉庫を共同で利用し、同一納品先への共同配送を実施。保管・幹線輸送の共同化や一般化学品分野での取り組み、他エリアへの拡大も検討。このほか競合メーカー同士や異業種間の共同物流も水面下で進んでいる。

路線便で敬遠されがちな、危険物を含む化学品の混載サービスも登場している。路線便の品質事故が多いことも背景に、“脱路線”の動きは高まっており、ベースカーゴを持つ化学品物流子会社や危険物物流大手のトラックのスペースを共有するという発想。荷主にとっては安定的な輸送力と輸送品質の確保というメリットがあるが、集荷や価格面が課題となっており、浸透にはまだ時間がかかりそうだ。

●連携し拠点増強、事業運営を効率化

恒常的に危険物倉庫が不足している中、危険物物流会社単独の設備投資も依然活発だが、一部では協業の動きも出てきている。危険物倉庫は保有空地の確保など投資のハードルが高く、また、危険物専業ではない物流事業者による単独の運営は苦戦しがち。営業力のある危険物専業の物流事業者と組んで、既存の施設を有効活用したり、新しい施設を整備するケースがある。築港が各地の物流会社と進めている拠点・機能増強はその典型例だ。

日陸も旧埼玉物流センターの閉鎖に伴い、茨城県古河市に危険物倉庫を新設した日立物流ファインネクストと協業スキームを構築。また、名古屋港9号地では、タンクターミナル事業を展開する宝ケミカルが取得した広大な用地の一部をローリー会社の中部液輸が購入。それぞれ危険物倉庫、ISOタンクコンテナ保管施設を新たに展開し、将来的な協業も模索する。競合を避け、協業することで事業運営の効率化を図っている。

(2017年5月30日号)


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