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センコーGHD/19年3月期2Qは拡販と料金改定の寄与で増収増益

2018.11.20

センコーグループホールディングス(本社・東京都江東区、福田泰久社長)が13日に発表した2019年3月期第2四半期の決算は、拡販や料金改定効果に、前期から今期に掛けて連結子会社化した各社の収益が上積みされ、増収増益となった。とくに料金改定効果は下期にも発出する見通しにあり、同日、東京都内で開かれた決算説明会で福田社長は「今期はこれまでにない料金改定効果となる見込み。傭車費の上昇や燃料費の高騰などに対して、今後も、お客様への転嫁をお願いしていきたい」と話した。今後、物流部門で輸送事業の強化とASEAN事業の拡大を進めるとともに、商事事業とライフサポート事業でも新商品の開発や新施設の展開を図る。

19年3月期第2四半期の連結業績は、売上高2603億3900万円(前年同期比7・4%増)、営業利益91億800万円(14・0%増)、経常利益93億6800万円(16・7%増)、純利益56億1600万円(29・1%増)となり、期初計画も上回った。利益面では、傭車コスト(13億9000万円)や燃料単価上昇(6億5000万円)が嵩んだが、料金改定(19億5000万円)や売上拡大効果(11億4000万円)などで吸収した。主力の物流事業も売上高1840億4400万円(8・0%増)、営業利益74億300万円(18・9%増)で好調だった。

通期予想は期初計画を維持し、売上高5300億円(7・7%増)、営業利益193億円(12・9%増)、経常利益193億円(11・5%増)、純利益115億円(21・0%増)の見通し。通期の傭車コストは28億1000万円、燃料単価上昇は11億5000万円の想定だが、料金改定効果で45億8000万円を見込むとともに、生産性向上とコスト改善で収益性を高める。

下期に国内で稼働する主な物流センターは、センコー湖東倉庫(滋賀県東近江市、延床面積3500㎡)とランテック京浜支店川崎FAZセンター(川崎市川崎区、冷凍冷蔵、1万7500㎡)の2拠点。海外では今月、中国北京市で北京物流センター(9400㎡)を稼働するとともに、シンガポールのSky Lift社も倉庫を来月移転開設する。期末時点での総延床面積は361万㎡となる計画。

車両の直営化と域内配送ネットワークの拡充へ

輸送事業の強化に向けて、関東・中部・近畿・九州の4ブロック内で、物流拠点から出荷する「2t以下の小口貨物」の域内配送ネットワークを拡大する。対象となる貨物を、長尺品や不定形品も含めたロット品などへ広げるとともに、宅配貨物の取り扱いにも対応。エリアごとに宅配業務を協力会社へ委託するサービスモデルを想定し、「今後はBtoBおよびBtoCなどのニーズを探りながら、車両を増強していきたい」と福田社長は事業展開への意欲を示した。

長距離輸送ではトレーラによる中継輸送を現在の84ルートから、今期中に93ルートへ増やす方針。同時に、鉄道や船舶へのモーダルシフトにも注力し、9月末時点でのモーダルシフト化率は68%に上ることを報告した。

車両の直営化も継続。自社車両台数は9月末時点で5357台だが、中期経営計画(19~21年度)内に6700台へ拡大し、「さらに24年度までに8000台、状況によっては1万台に持っていきたい」(福田社長)との考え。自社車両では「長距離のみならず中・近距離輸送でも往復貨物を獲得することで実車率や収益率を向上させている」と福田社長は説明した。

海外では、4ヵ国(シンガポール、タイ、ミャンマー、ベトナム)で展開するASEAN事業を中期経営計画内に現状の60億円を100億円規模へ拡大する。今後、①冷凍・冷蔵物流の強化、②クロスボーダー輸送の強化、③国際フォワーディングの強化、④未進出国への事業拡大――によって事業成長を図る。

冷凍・冷蔵物流ではタイで今年7月から冷凍・冷蔵車両約150台による輸送業務を開始したほか、19年度内にはバンコク市内で3温度帯物流センターを開設予定。クロスボーダー輸送ではタイを起点に日系メーカーの電子部品などを近隣国へ輸送しているが、今後は、タイ~ベトナムルートを開発するとともに冷凍・冷蔵品への対応も検討する。国際フォワーディング事業ではSky Lift社と、9月にグループ化したタイのBest Global Logistics社が連携してネットワークを拡充。これらに加え、カンボジア、インドネシアへの進出を視野に入れる。
(2018年11月20日号)


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